2008年07月21日

ハッピーマンデー

医師より居宅療養管理指導依頼ありました。
依頼理由としてデイサービス利用時、スタッフが自宅まで迎えに行った際、薬が残っているのをたまたま見つけ医師に報告してくれたのがきっかけです。
当時のコンプライアンスの確認はとれていませんが、認知症で一人暮らしのため管理が厳しいと考えられたため、そのコンプライアンスの向上を目的として在宅開始となりました。

以前一度訪問したことがあり、本心として訪問するのは少し気が引けていたのですが、仕事なので訪問することに決めました。患者さんは長崎のはずれの山奥に一人暮らしをしており、自宅は決して綺麗とは言える状態ではありませんでしたが、以前の家庭環境とは天と地の状態でした。
昔の家庭環境はひどく、部屋中に悪臭が漂っており、部屋をウジがはい回っている状態でした。今だにネズミなどは走り回っていますが・・・・。

医師・ケアマネージャー・訪問ヘルパーステーションの関係者と話し、現時点での患者一人での服薬はほぼ不可能に近い状態であり、完全目視下での服薬が必要ではないかという結論に至りました。
患者の週間スケジュールは月・木・金曜日デイサービス利用。水・土曜日ヘルパー訪問
私が火曜日に訪問をすれば、月曜~土曜までは確実に服薬させることができます。
日曜日は人員的に訪問する人がおらず、とりあえずこの状態から始めてみることになりました。
スタッフが協力し合いコンプライアンスは問題なく行われており、症状も落ち着きました。

現在は介護度の変更に伴うサービスが変更となり、私の訪問は毎週曜日となりました。
2000年試行のハッピーマンデー制度により、月曜日の祝日が多くなりましたが在宅を行う上で、休日に関係なく訪問・服薬をさせていいます。
今日も海の日で世間的には休みだったのですが、私は朝8時にいつものように山のなかにいました。

2008年07月16日

こんな事をやりました

RA患者における排便コントロールの一例

リウマチの患者さん宅を訪問した際、患者さんの枕元に片方をゴムで縛った割り箸が置いてありました。小さい子供がいる家庭ならまだしも老夫婦の所に・・・。
患者さんに、これは何に使うのかを確認したところ、患者さんは笑いながらこれに使うんですよと教えてくれました。
これと見せてくれたものはラキソベロン液でした。
最初ラキソベロン液と割り箸とはどうしても結びつきませんでした。

患者さんは「これをこうやって使うんですよ」と実践してくれました。片方をゴムで縛った割り箸の間にラキソベロンを挟みそれを絞めることで液を押し出していました。
患者さんは「私は指が変形しているから、力が入らないので先生が言うように、何滴って出来ないんですよ。だから、この割り箸の間に挟んで適当に出して飲むんですよ。」
頭を殴られた気がしました。
急いで薬局へ帰り、Drへ報告を前にカルテを見ながら、”ラキソベロン錠・ペンクルシン錠は定時で服用。アローゼンはPTは好きだが効果が今ひとつである。滴下をしなかったらどうだろうと考え、ラキソベロン液を最初から薄めて計量して服用は出来ないだろうか”と考えました。
メーカーに連絡を取り、ラキソベロン液の安定性について確認しました。
メーカーからは精製水に溶解後一週間は安定であるとの回答を得、医師に上記を報告
ラキソベロン液10mlを10倍希釈して、1回10ml服用させることを試みました。

患者さんからは「一定量をコップに注ぐだけだから楽で良いですよ」と喜んでもらえました。

医師は臨床のプロだし薬の使い方もすごく上手いと思いますが、剤形とか形状とかには弱いところがあると思います。
薬剤師がそのあたりをfollowする事で、患者さんのADLが上昇すればいいのではないかと感じました。
外来で患者さん以外に薬を渡す場合、自分たちの見えないところでどのように薬が使われているか確認してみてはどうでしょうか

2008年06月23日

何をして良いのか・・・

 在宅を行っていない薬剤師の先生の多くは「在宅に行って何をすれば良いんだろう」と思っているのではないのでしょうか?前にも書いたように多くの患者さんや家族の方も、「薬剤師の先生が自宅に来て何をするの」と思っています。
逆に言えば訪問に対する決まり事はないと言うことです。
決まり事はありますが、訪問してこれとこれをしなさいというマニュアルはありません。
それだったら契約してくれた患者さんや家族の方を満足させられるような医療の提供が出来るようにすればいいのではないでしょうか。

薬局は薬剤師の城です。自分の城に患者さんや家族の方が来るのだから、主導権を握っている薬剤師がどれだけやりやすいか・・・・。在宅は患者さんの城です。ここでは患者さんが主導権を握っています。だから訪問した薬剤師の先生はどう行動して良いのか解らなくなると思います。
これさえクリアーしたらあとは流れるように進んでいくと思います。
外来より在宅の方が、情報があふれています。
訪問した当日からきょろきょろ観察するわけにはいかないでしょうが、次第にいろんな事が解るようになります。

患者さんや家族の方を満足させる医療を行うには、行動(訪問など)と情報収集(観察と話し合い)と思っています。
まず一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか

2008年06月22日

よく言われます

 医師や地域包括センターから居宅療養管理指導の依頼があり実際訪問をしてみると、多くの患者さんや家族の方から「薬剤師の先生が来て何をするんですか?」と言われます。契約内容を説明し納得していただいたら、契約書にサイン・押印と進みます。実際訪問依頼があっても今まで十数件の患者さん・家族の方からは断られました。

断られた理由のほとんどはお金がかかるということでした。1回の訪問で500単位、次回から300単位
月4回も行くものならば1割負担で1400円もかかります。
でも、ほとんどの患者さんは快く私の訪問を受け入れてくれました。

長い方では数年訪問している患者さんもおられます。患者さんや家族の方からは「来てもらってよかった」「薬の他に体調の管理をしてもらうから助かる」「先生に言えないことを聞いてもらえるから良かった」という暖かい声をかけていただいています。

ただ、月に500単位~1400単位もの報酬をいただいて、すべての患者さんや家族の方に本当に満足してもらっているかは謎ですが、契約を破棄されていないので不満はないのかなぁと考えています。

患者さんや家族の方が何を必要として何を私に求めているのかを確認してこれ以上のサービスを行っていきたいと考えます。

2008年06月15日

在宅医療を始めるにあたって

 在宅を始めるにあたって多くの先生方は何をして良いかわからないと答えられます。私も最初はそうでした。ではまず在宅を始めようと思ってもなかなか感じがつかめないと思うので、一度気になる患者さん宅に遊びに行ってみたらどうでしょうか?
外来で服薬指導を行ったとき「この人薬どうしてるのかなぁ」「ちゃんと飲めとらんよね」「糖尿の薬なのにたまにしか来とらんけどだいじょうぶやろうか?」と感じたことはありませんか?
そんな患者さんには「くすりあまっとらんですか?」と聞いても「どうやったかなぁ」とか「ちゃんと飲んどるよ」と返事が返ってきますが、それで納得できない患者さんって数人はいると思うんですよね。

 そんな患者さんに私は昼間に抜き打ちで患者さん宅に出かけます。「近くまで来たけん、顔ば見に来ました」と薬の話なんて何もせずに世間話をして帰ってきます。また2週間後くらいに顔を出してみます。
外来に来たときも「この前はおじゃましました」って言うくらいです。
何回かそれを繰り返したら患者さんの方から薬のことを聞いてきたり、色々話してくれるようになりました。それでも薬局では話してくれないようだったら、数回の訪問の時に残薬のことを切り出してみたらどうでしょうか。
ある患者さんのところでこれをやったら、「実は・・・薬があまっととさね」とゴミ袋2袋分くらい回収したこともあります。
ただ、在宅と違うのはこの訪問は訪問目的を患者さんに話しておらず、あくまでもコンプライアンスの確認とか信頼関係の構築と言うことは伏せています。話しても問題はないのでしょうが、患者さんにもプライドがあり、それを傷つけたくなかったからです。

「忙しいのに」とか「そんな一人に時間かけられない」とか言われそうですね。私たちは薬を使って、人とつきあっていると思っています。在宅とは外来よりももっとこの関係が強くなっています。今度お話ししますが月の訪問で5000円~14000円の収入を得ることが出来ますが、この関係なしに満足がいく在宅医療は出来ないのではないでしょうか。
もともとコミュニケーション力不足である薬剤師がこの問題をクリアーするためにはやはり、少しの努力が必要かと考えます。